銀糸が魅せる大胆で繊細な刺繍ファブリック

精緻に模様を紡ぎクラフツマンシップを存分に感じられる刺繍生地。柄を引き立てる鍵を握るのは刺繍の糸密度と太さで、どう選びプログラムするかが職人の腕の見せどころに。02 DATURAでは、長年刺繍に取り組んできた老舗「林キルティング」が銀糸を用いて製作した。

ジャケットにスカート、ドローストリングのバッグと3つのアイテムに用いられているのが、葉っぱ柄を銀糸で刺繍したファブリック。動くたびに、きらきらと繊細に、しかし、しっかりと放たれる煌めきに、銀という金属の持つ自然の力を感じさせる。もともと銀糸は、着物の帯など織物で用いられることが多く、素材全面に銀糸で刺繍を打ち込むことはとても珍しい。SOKOが以前から好きだった金継ぎにヒントを得て、ささやかながら存在感のある煌めきを表現した。刺繍を打つベースとなる生地にはベルベットを。繊維が立っているため凹凸があり、刺繍を施すとステッチが繊維に対し沈み隠れるため、品よく煌めく。苔に雫が光るような静謐な趣を宿す。銀糸は、プレート状の銀を細かくスライスしたスリットヤーンを特殊な加工で角を取り丸みのある刺繍糸へと加工したもの。布地全面に描かれた大きな柄は、運針のピッチを調整し、葉っぱの表情や陰影を最も美しく魅せた。どの描線を強調しピッチを変えるかなど、図柄を引き立てる刺繍におけるクリエイションに職人のセンスが表れている。

刺繍という工芸をファッションの楽しさの中に取り入れた生地。モダンで洗練された表情は、職人の優れた技術力を深く理解するSOWERだからこそ紡ぎ出した唯一無二のファブリックだ。